気づくと異性からの視線を感じる日々の真実

気づいたら、視線を感じていた。最初は自分のデスクでパソコンをイジっていたときだった。ふと、顔の左側が「くすぐったい」感覚に陥った。そのまま左手で顔を掻こうと思ったが、なぜかやめて左に視線を移してみた。すると、女子社員の美佳が俺のことを見ていたのだった。美佳は俺と視線が合った瞬間に、視線を地面にそらした。それがとても不自然で俺は気になってしまったのだった。

それからは「左側から視線を感じる日々」を過ごすことになった。別に俺は、仕事中にエロサイトを閲覧しているわけじゃない。至って、健全に仕事に集中しているのだ。それでも、視線を感じると、こちらも気になってしまい仕事でケアレスミスを起こしたり小さな弊害も生じてきた。

昼の休憩中、俺は同僚の健二に気軽に相談してみた。「あのさ、美佳って子いるじゃん?なんかあの子がちょくちょくこっちを見てるんだよね。それが気になっちゃってさ」健二はカツ丼を食べながらこう言った。「それは好きだから見てるに決まってるだろ」俺は少し腑に落ちなかった。それならもう少し積極的にアプローチすればいいだろう。健二は続けた。「ほら、よくあるじゃん。学校でさ、女子が好きな男子をずっと見つめてて、休み時間に皆にからかわれちゃうっていうやつ」確かにそういうことはあった。「女っていうのはそういうものなんだよ。男だったらパンツが見えそうなときずっと見ちゃうけどな」俺はなんだか健二の説に納得してきたのだった。そういえば、全社員が強制的に参加させられた飲み会でも美佳は俺の近くにいたような気がした。そんな積極的に話しかけてくるってわけじゃないけど「付かず離れず」な距離を保っていた。

最近の女子はガンガン攻めてくるけど、美佳は昔ながらの奥ゆかしい女性なのだろう。俺もだんだん美佳のことを異性として意識してきた。そんな矢先だった。いきなり美佳は退職した。朝、いないなぁと思ったらそういうことだった。そして、驚くべきことに俺の右隣にいた部長も同じ日に退職したのだった。そう、二人は不倫関係だったのだ。